生き死にと争いと人斬りと英雄

占い通りの占い師たちに依頼された肩こり腰痛治療に出向いた帰り。

占いをしているらしきレイヴが居た。占い饅頭を代わりに貰ったがペパーミント味で微妙に不味い。

ヴィアは裁縫ができるが、どんくさいらしくミスリル手袋をつけて赤ん坊の服を作ったんだとか…ま、まあいいか。

それから、噂に聞いてた本の魔女とやらが来た。何か企んでやがったが、今回は何もさせずに済んだ。

チシカもやって来て、本の魔女が害をなすやつと判明。まあ、牽制しあってたお陰か何もなかったけど。

レイヴは、例の人斬りに呪いをかけようとしてたらしい。人斬りに二度とそんな事をさせないために。

だが、見えてない事もあったみたいだ。思いとどまってくれた、というよりも…新たな視点を見つけ、ちゃんと考えてくれたのだったらオレが今日ヘタクソな言葉で思ってる事を言った意味もあったと言う物。

レイヴが、いや…他の人間も。人斬りに大して大きな罰を、そして今後二度と同じことをしないようにと願うのと同じに。

人斬りに変わるチャンスを与え、そして変わる事を信じている者も居る。

どっちが正しいとか、どっちが間違いとかじゃなくて…どっちも、在るんだ。

だから、それを無視して行動してはいけないと思う。

無視して、自分たちの都合だけで突っ走れば必ず反対側から反発を受ける。

そうしたら、きっと小競り合いが争いを呼び…また大騒ぎになる。

そんな縮図を、今日は見た気がした…そして一度起こってしまったら止まらないのだ。

だから、事を起こす前に…考えなくてはいけない、そして事を起こした結果どうなるかを考え覚悟しなくてはいけない。

起きた後で、アレコレと迷って居ては何も出来ずただただ、消えていくのを見るだけ。

だから、覚悟した上で、承知した上で…事を為さなくてはいけないんじゃないか、とオレは思った。

チシカは、もう知人同士が戦うのを見たくないと。こんな世界はもう見たくないと。二度と大事な人など作りたく無いと言った。

チシカの痛みは、本当の意味じゃオレにはわかってやれない。

それでも、アイツは友達だから。だから、せめて…大事な人など要らない、なんていわなくてもいいような。

そんな世界に少しでも近づけたら。そして、そうするためにはオレだけじゃダメなんだ。

だからといって、オレが動かなくていいという事でもなくて…誰が動かなくても自分が動かなくては。

呼びかけないと。何度でも届かなくても。

所詮不可能な理想なのかもしれないが、それでも諦めきれない。

諦めるには、大事な物ができすぎた。大事な物がある心地よさと幸せを知りすぎた。

守るんだ。守るために、オレができることをやる。

ああ、今日は何だか…えらく長くなってしまったな。

チシカは魔法で漸く眠った。何か自然と眼が覚めないような物使ってそうだが、今は静かに寝かせてやろう。


マルチＳ★レイヴ★ヴィア★フェーリ★チシカ★老いた占い師★とある騒ぎ